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ごあいさつ

「この病院に紹介されてよかった」そう思われる診療を目指しています。

膠原病・リウマチ性疾患は、発熱、関節・筋痛などの「リウマチ性」症候と、内臓障害(特に腎・肺に多いがほぼ全臓器)を併せ持つ疾患群で、一般に難病と考えられており、診断が遅れ治療に難渋することが珍しくありません。
当科では、これらを早期に診断し、治療の目標を設定した治療を実践することを専門としています。
特に重要視しているポイントとして、以下のようなものを掲げています。
1. 入院下に強力な免疫抑制療法(ステロイド大量療法、免疫抑制剤)を行う際の、合併症予防・管理に注力しています。
2. ベリムマブ、リツキシマブ、アニフロルマブ、メボリズマブ、トシリズマブなどの生物学的分子標的治療薬を、入院治療中においても必要に応じて使用することにより、従来の免疫抑制剤の使用を控えてステロイド薬の減量を促進することを目指しています。
3. リウマチ性疾患(上記)の診断・治療効果判定等に関節エコー検査を駆使し、正確な診断・病勢評価を目指しています。
4. リウマチ性疾患の診療において、当院整形外科乾部長らと定期的にカンファレンスを開催し、密な連携診療および診療技術の向上を目指しています。
5. 疾患・治療についての情報提供をするための多くの自作資料を準備して、わかりやすい病状説明を行うよう心がけております。
6. 病状の安定した患者について、病診連携診療を積極的に提案しています。

膠原病内科部長
中澤 隆

診療内容

症例分類 具体的傷病名
膠原病 全身性エリテマトーデス、多発性筋炎・皮膚筋炎、全身性硬化症(強皮症)、混合性結合組織病
血管炎症候群(ANCA関連血管炎、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、結節性多発動脈炎など)、関節リウマチ
リウマチ性疾患 関節リウマチ、脊椎関節炎(乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、反応性関節炎、腸炎関連関節炎など)、ピロリン酸Ca沈着性関節炎(偽痛風)、痛風など
膠原病類縁疾患 リウマチ性多発筋痛症、ベーチェット病、成人発症スチル病、再発性多発軟骨炎、抗リン脂質抗体症候群、シェーグレン症候群など
その他 不明熱:膠原病を疑う場合・膠原病を否定しきれない場合など

実績

2013年度~2022年度の膠原病内科における1ヶ月の外来患者延べ数は約1000人前後で、コロナ禍においても大きくかわりませんでした。
関節リウマチの多くの方は外来治療を主とし、生物製剤導入時に短期間の入院をお願いしています(5-10日程度)。全身性エリテマトーデス、多発性筋炎・皮膚筋炎、血管炎症候群などの強力な免疫抑制療法を要する病態への治療入院が多くを占めますが、合併症(感染症など)の治療入院および不明熱の診断入院もあります。
治療方針は本邦の専門学会(日本リウマチ学会等)および欧米専門学会(米国リウマチ学会、欧州リウマチ学会)の推奨治療を前提としたものを、個々に調整して決定しています。

関節リウマチ(RA)外来患者の治療成績

外来RAデータベースのデータより、各年度の最終3ヶ月(1-3月)の登録患者を対象としたRAの疾患活動性をCDAI**値でまとめました。
■判定方法
  高疾患活動性 中疾患活動性 低疾患活動性 寛解
**CDAI >22 22-10 10-2.8 ≦2.8


全体像を平均値で表すと、年々CDAI値が低下しています。RAのコントロール状況がよくなってきていると言えます。

2016年度以降、第三四分位(Q3)のCDAI値<10で、3/4以上が低疾患活動性以下となっています。

疾患制御が不良な高疾患活動性に目を向けると、その患者の割合(%)は低くなってきていますが、CDAI最大値は

低下傾向にないため、疾患活動性がとても高い人が低頻度のまま、解決できていないことを示しています。



 

■対象患者のCDAI値の累積分布図

X軸:CDAI値の低値→高値に並べた際の通し番号が個々の患者

Y軸:個々の患者のCDAI値

色ごとの矢印は、各年度のQ3を示し、色ごとの◇はCDAI値10を示します。

2016年度以降、Q3は◇を下回り(左に位置する)、3/4以上の割合で低疾患活動性以下となっています。


 

入院診療

入院診療は主に以下の患者を対象としています。
 
  1. 1.膠原病急性期・増悪期等、入院管理が必要な場合
  2. 2.他院入院中の未診断炎症性疾患の診断のための転院
  3. 3.合併症などにより入院管理が必要な場合
  4. 4.関節リウマチ等に対する分子標的治療薬導入時の全身検査入院
  5. 5.労作時息切れを呈する膠原病に対する心肺運動負荷試験
  6. 6.膠原病関連肺動脈性肺高血圧治療導入時
 

入院患者数は増加傾向にありましたが、その後減少しています。
入院患者の内訳としてRAが多いですが、他の希少疾患も一定数あり、地域の膠原病診療において一定の役割をはたしていると言えます。
 


 

分子標的治療

疾患・病態の研究により、病態を形成する重要な分子が複数同定されてきた結果、それらを標的とした治療薬の開発も進んでいます。
現在、当院の膠原病内科で扱う疾患群のなかで、分子標的治療薬は下記のように多岐にわたります。
疾患名 治療薬(現在扱うもの)
関節リウマチ(RA) 抗TNF:レミケード・エンブレル・ヒュミラ・シンポニー・シムジア
抗IL-6:アクテムラ・ケブザラ
他:オレンシア・ゼルヤンツ・オルミエント(プラリア)
ベーチェット病 レミケード・ヒュミラ
乾癬性関節炎 レミケード・ヒュミラ・ルミセフ・トレムフィア
全身性エリテマトーデス ベンリスタ
ANCA関連血管炎 リツキシマブ・(ヌーカラ:EGPA)
大型血管炎 アクテムラ













 

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