大阪府済生会中津病院神経内科 山本 徹
めまい感を訴えて神経内科を初診される患者様は非常に多く、当院ではその3分の1に及びます。フラフラとした浮遊感の場合もありますが、突然天井や自分がグルグル回転するように感じる回転性めまいでは、嘔気や嘔吐を伴って患者様は著しい不快と不安を持って来院されます。最近我々は回転性めまいの原因として最も多いBPPVに対して頭位変換手技による治療を行い良好な結果を得たので本稿で紹介したいと思います。(高屋成利,
山本 徹. 水平半規管性良性発作性頭位変換めまい---The dynamism of otoliths---. 脳神経. 2002;54:298-305)
BPPVとは何らかの原因で迷入した耳石(平衡砂)によって内耳の平衡器官の一つである三半規管の機能不全が生じたものと言われています(図1)。診察では病変側の耳を下にした下垂頭位を急にとり眼振(目の回る現象)を観察します(図2)。この頭位変換検査で患者様はめまいを訴えてパニックに陥ることも少なくありませんが、正確な診断には必須の検査です。
従来のBPPV治療は抗ヒスタミン薬を短期間服用していただくのみでした。しかし、最近までにBPPVに対する頭位変換手技が発表され、我々の外来でも最も簡便で有用と思われるEpley氏変法を行ってきました。劇的な例では何週間も続いていたBPPVが一度のEpley氏変法で完治しています。
Epley氏変法を説明します(図3)。目的は耳石を半規管の膨大部近傍から反対側に移動させ、更に卵形嚢内に戻すことにあります。まず坐位から病変耳側(右とします)に首を45度回した後、めまいの生じる下垂頭位をとります。このとき肩の下に枕を置いておくとベッド上で下垂頭位がとれます。当然ながらめまいを生じますが(図2)、我慢してもらい約30秒後に左側に首を90度振ります。30秒後更に左に首を90度回し、半うつ伏せになります。30秒後に首を振らずにゆっくりと起きあがると終了です。半日ほどは頭の位置をなるだけ変えない様に努めます。一度で良くならなければ、自宅で手技を繰り返すとよいようです。図の説明では1日に3回して、24時間頭位変換めまいが起こらなくなるまで毎日施行するようにと書いています。ただし、診察によるBPPVの確認、とりわけ左右どちらの後半規管の機能異常なのかを決定することが重要です。左右が逆であると耳石を半規管に止めてしまう逆効果になる恐れがあります。