認定・専門看護師
多様な専門領域で活躍する
認定・専門看護師たち
(2024年4月現在)
- がん化学療法看護認定看護師
- 1名
- 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師
- 1名
- 緩和ケア認定看護師
- 1名
- 糖尿病看護認定看護師
- 1名
- 皮膚・排泄ケア認定看護師
- 4名
- 集中ケア認定看護師
- 3名
- 救急看護認定看護師
- 1名
- 感染管理認定看護師
- 3名
- 認知症看護認定看護師
- 1名
- 慢性心不全看護認定看護師
- 1名
- がん看護専門看護師
- 2名
- 小児看護専門看護師
- 1名
がん化学療法看護
認定看護師
竹内 奈津子
認定・専門看護師の
仕事紹介
がん化学療法看護認定看護師の役割は、がん薬物療法を受ける患者さんが、治療を安楽に受けることができるように副作用症状のマネジメントを行い、患者さんがセルフケアを実践できるよう援助することです。また、患者さんとご家族を含めた心理的支援も行います。さらに、医療スタッフに対し、がん薬物療法に関する指導やコンサルテーションなども行います。
近年、がん薬物治療は急速な発展を遂げ、新規薬剤の開発が進み、治療自体も複雑化してきています。その状況下で、がん薬物療法を安全・確実に行うため、チーム医療として医師や薬剤師などと協働し、患者さんやご家族を共に支えられるように様々な取り組みを行っています。
患者さんが自分らしい生活を送るのと同時に治療を受けることができるよう、個別性を活かした看護の提供も心がけています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
外来化学療法室へ配属となり、副作用の出現状況や、患者さんが実践している症状マネジメントなどについて治療前に把握するため、看護師による診察前問診を開始しました。問診を取り入れるにあたり、様々な課題もありましたが、事前問診を開始したことで患者さんと医療者双方にメリットがあり、充実した看護ケアの提供に役立っていると思います。
がん薬物療法を安全に実施するため、日々の問題点についてカンファレンスを行い、多職種で協働し、院内のルール作りも行っています。
また、認定看護師には、患者さんへのセルフケア支援以外に組織の中での役割も課せられます。私一人では困難でも、看護師に対する研修の実施やがん関連の情報発信を行うことで、院内全体のがん薬物療法看護に関するスキルが向上し、患者さんの安全・安楽な治療に繋がることにやりがいを感じています。
仕事でのエピソード
外来化学療法室には多くの患者さんが日々治療を受けに来られます。新規薬剤の開発やその副作用に対する支持療法の発展により外来治療が主体となっており、限られた時間の中で今後の治療に対しての意思決定支援などを行う必要があります。患者さんの個別性に合わせたケアを実現するため、患者担当制を取り入れました。
受け持つ患者さんの人数が多く、時間制限もあるため、入院中のように密な関わりは難しいですが、受け持ち患者さんの抱えている問題、副作用状況などを素早く判断し、薬剤師や主治医とのカンファレンスなどにも活かし、チームで支えています。
患者さんだけでなく、ご家族にも抱えている問題などがないか話を聞き、患者さんとの仲介役として関わることもあります。
私達のサポートにより、患者さんやご家族の抱えている問題が解決し、治療意欲の向上に繋がった時に、喜びを実感します。
がん治療は長期に渡り、辛い治療も多いですが、少しでも前向きに、かつ安楽な治療が受けられるように今後もサポートできたらと思っています。
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師
本村 通江
認定・専門看護師の
仕事紹介
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の役割は、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など、いわゆる脳卒中という病気の急性期における重篤化回避および合併症の予防を行い、発症早期から社会復帰に向けたリハビリテーションを実践することです。脳卒中は運動麻痺や言語障害、嚥下障害、高次脳機能障害などの生活に支障をきたす障害を引き起こします。それらの症状に対して、他職種と連携を図りながら、さまざまなアプローチをすることで、「その人らしさ」を取り戻せるようなケアを行っています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
脳卒中は医療技術の向上により死亡数は減少しています。しかし、発症する人が減少したわけではありません。高齢者だけでなく働きざかりの方も脳卒中を発症します。生命の危機的状況になることもありますが、その状況を乗り越えた先にも、多くの場合、後遺症と向き合うことが必要となります。
後遺症は一人一人違います。患者さんの価値観を知り、生活スタイルに合わせた再発予防の指導を行うことや、生活再構築のための自立支援等、個別性のある対応が必要となります。対応の難しさはありますが、やりがいのある仕事だと思っています。
仕事でのエピソード
言語障害がある患者さんと出会い、コミュニケーションがうまく図れずに困った経験をしました。しかし、実際に困っているのは患者さんであると気づき、何日も時間をかけて、伝えたいことが何かを引き出せるように関わりました。様々な方法を検討し、少しずつ思いをくみ取ることができるようになり、患者さんも笑顔を見せてくれるようになりました。家族に対しても、非言語的なコミュニケーションの方法を指導したことで、安心して自宅へ退院することができました。
言語的な会話が不可能であったとしても、その他の方法でコミュニケーションを図ることの大切さを実感する日々を過ごしています。
緩和ケア
認定看護師
石上 真三子
認定・専門看護師の
仕事紹介
疾患をもつ患者さんやご家族に対して、トータルペインの視点で問題の明確化とアセスメントを行い、QOLが向上するケアを提供することが緩和ケア認定看護師の役割です。普段は緩和ケアチームの専従看護師として、院内で横断的なコンサルテーション活動を行っており、現場からの依頼にタイムリーに対応しています。コンサルティ自身が問題の本質に気付けるよう働きかけ、多職種の力を合わせて問題解決に繋がるような介入を心がけています。
また、がん看護や緩和ケアの分野で講義を重ねることで看護力の向上を図ったり、がん患者サロンの企画運営も行っています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
苦しみが緩和され、患者さんやご家族の希望を叶えることができ、幸せな表情や安心する姿に変わったとき、私は看護師として心からの喜びとこの仕事のやりがいを感じます。また、スタッフの相談事や講義を終えたときに「やっとわかりました!」とキラキラとした表情に変わる瞬間に出会うことも、嬉しい瞬間のひとつです。
それぞれの職種の立場から倫理的な視点で物事を捉えたり話し合う機会が多くありますが、幅広い知識と最新の知見を知っておかなければ、より良い話し合いを深めることが難しいと感じることがあります。そのため、がんの動向や最新の治療に関する知識のアップデートが常に必要だと感じており、難しいことも楽しく学べるよう工夫しながら自己研鑽し、成長し続けていきたいと思います。
仕事でのエピソード
患者さんやご家族と関わるなかで、残された時間が少ないとしても「これからやりたいこと」についてお話するようにしています。「こんな状態だけど、どうしても両親のお墓参りに行きたい」「故郷で最期を迎えたい」「大好きな家に帰りたい」「大切なペットに逢いたい」「子どもの結婚式に出席したい」等、大切な思いを教えてくれます。患者さんの状況から希望を叶えることが困難に思えたとしても、どうしたら叶えられるかを多職種で懸命に考えて方法を探します。患者さんの願いを叶えられたとき、絶望でいっぱいだったお顔が喜びと嬉しさに満ちた笑顔に…!患者さんやご家族に喜んでいただけると、ホッとするとともに私も嬉しい気持ちでいっぱいになります。
患者さんとご家族に残された貴重な時間があたたかく幸せな時間となるよう、これからも全力を尽くしたいと思います。
緩和ケア
認定看護師
乗松 有加
認定・専門看護師の
仕事紹介
緩和ケアについて、どのようなイメージをお持ちでしょうか。緩和ケアと言われたからもう最期ではないかと思う方もおられますが、決してそうではなく、がんと診断された時から緩和ケアは受けられます。身体のつらさや気持ちのつらさなど、病気になったことで生じる様々なことに対して、ご本人だけでなく家族も支えていきたいと考えています。
私は、主に外来での病状説明の際に同席しています。診察室を出てからお声をかけると、説明時に医師には聞けず、たくさん不安を抱えておられる方が多いです。患者さんと家族の心配ごとをゆっくりお聞きしながら、質問にお答えし、時には医師からの説明を補足しながら、診断結果及び治療方針に関して十分に理解し納得した上で治療方針を選択できるようにサポートさせていただいています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
期待通りに治療効果が出なかったり、病状が悪化してしまったりという苦しい現実と向き合う患者さんやご家族に寄り添うことは、つらくないとは言えません。ただ一人ひとりの生き様に触れることを通して、つらさを抱えて生きていく人間の強さを感じます。また、患者さんから聞かせていただく考え方、人生観から学びや刺激を受けることも多く、自分自身の価値観の広がりや豊かさを得ている実感があります。患者さんとの関わりから感じるあたたかさや人を深く知り心が通う喜びは大きく、たとえつらい状況でも、看護師として患者さんの人生の大事な時間を共有させていただくことを光栄に思います。
仕事でのエピソード
痛いけれど薬には頼りたくないと、歯を食いしばって痛みに耐えておられる患者さんからのナースコール。苦しんでおられる患者さんにどうすればいいかわからず、ただ背中をさすることしかできませんでした。無力感でいっぱいの私に「ああ気持ちいい…あなたの手は痛み止めより効くなぁ…」と言ってくださいました。これが私の看護師としての原点となっています。関わらせていただく患者さん全てが、かけがえのない出会いであり、それぞれが忘れられないエピソードです。
糖尿病看護
認定看護師
石上 美紀
認定・専門看護師の
仕事紹介
糖尿病看護認定看護師の役割は、糖尿病を抱え生活する患者さんとその家族に対して、心理的・身体的・社会的な問題を的確に把握し、血糖コントロールを良好に保ちながら、合併症の進行の悪化を防ぎ、病期に応じた生活が継続できるように日々、療養指導を行うことです。
週二回、糖尿病ケアの看護外来を行っており、医師から依頼を受けた患者さんに対して療養指導やフットケアを行っています。
入院中でもインスリンの手技が確立困難な患者さんや糖尿病の指導が必要な患者さんに指導を行っています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
血糖測定やインスリン注射の手技が困難・インスリン注射の受け入れができない、注射の継続が必要で認知力の低下した患者さんなどと関わることが多くあります。何度も繰り返し指導を行い手技が確立できた時や、何度も話しを聞くことでインスリン導入を受け入れてもらえた時に、とてもやりがいを感じます。しかし一方で、これまで血糖測定やインスリン注射ができていた患者さんが認知症の進行によって、手技ができなくなる場合もあり難しさを感じています。
仕事でのエピソード
糖尿病は慢性疾患であり、治ることはなく一生付き合っていくことが必要な疾患です。入職当時に出会った患者さんやご家族が、ずっと通院を続けておられ外来に来ると声をかけてもらえることも多くあります。
1型糖尿病の患者さんで糖尿病ケトアシドーシスを起こし、血糖コントロールが不良のため、何度も入退院を繰り返している患者さんがおられました。
何度も入退院を繰り返していたため、2週間おきの外来受診となりました。毎回外来受診の度に声をかけに行くことで、血糖コントロールのことだけでなく、私生活で起こったことなども話してくれるようになりました。何度も話しをするうちに「次に会うまでまた頑張ってきます」と、血糖コントロールに対して意欲的となり入院をすることなく経過することができています。
皮膚・排泄ケア
認定看護師
井上 瞳
認定・専門看護師の
仕事紹介
皮膚・排泄ケア認定看護師は、創傷ケア・ストーマケア・失禁ケアの3つの分野において専門的な知識を用いて適切なケアを実践し、スタッフへの指導や相談への対応を行う看護師です。私は、2019年にこの資格を取得し、現在は褥瘡管理者として褥瘡対策チーム(Pressure injury care team以下PIT)と連携し、組織横断的に活動を行っています。週1回のカンファレンスとPIT回診を行い、多職種で協働しながら褥瘡予防から治療的ケアまでを行っています。また、病院内の褥瘡ケアに関する知識や技術向上を図るために、定期的に勉強会を開催しています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
皮膚のトラブルや排泄に関わる問題は、患者さんにとって身体的な苦痛だけでなく精神的な苦痛も伴うため、生活の質を低下させることがあります。時には、他人には相談しにくいデリケートな内容でもあります。そのため、専門的な視点で問題を捉え、患者さんそれぞれにあったケアを考え実践することが大切です。そして、患者さんを中心に医師や看護師、栄養士、理学療法士と協働しチームでケア方法を考え実践しています。患者さんの苦痛が一つでも改善したときには、喜びとともにやりがいを感じています。
仕事でのエピソード
オストメイト(ストーマ保有者)は、ストーマを造設することで排泄方法が変わるため、悩みや不安を抱えています。また、ライフスタイルに大きく影響を与えます。ストーマ外来に通院されているオスメイトが「これまで旅行や温泉に入ることが趣味だったがもう行けない」と涙を流しながら話しました。ストーマを保有していても温泉に入る方法を指導し、楽しみにされていた旅行に行くことができました。「ストーマ外来に通って、相談することができたから、自分のやりたいことがまたできるようになった。ここにくると悩みをわかってくれる人がいて、何でも話ができるから安心する」と話してくれました。その言葉は私にとってとても嬉しい言葉でした。これからも、オストメイトがその人らしく生活できるよう支援していきたいと思います。
皮膚・排泄ケア
認定看護師
武井 紀代美
認定・専門看護師の
仕事紹介
私は2009 年に皮膚・排泄ケア認定看護師の資格を取得しました。人工肛門(ストーマ)ケア・創傷ケア・失禁ケア領域の看護分野において、専門的な知識と技術を患者さんに提供しています。ストーマ外来では、ストーマ保有者に対して、術前・術後から社会復帰後のケアまで継続的にサポートをしています。入院期間だけではなく長期的な関わりを持つことも多く、患者さんから非常に多くのことを学ばせていただいています。その他にも専門分野のコンサルテーションを通して、病棟看護師と連携し、皮膚・排泄ケア領域の看護の質向上を目指しています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
皮膚は、人体最大の臓器と言われています。そのため、皮膚に関するトラブルは数多くあり、皮膚・排泄ケア認定看護師の活動内容は多岐に渡ります。近年、在院日数が短縮し、褥瘡やさまざまな創傷を保有したまま在宅へ退院される方が多くおられます。入院中と違い、ケアの主体者が患者さんもしくは家族となる場合があります。在宅医師や訪問看護師など地域との連携を行い、不安が少しでも軽減され、より良い生活が送れるようサポートを行っています。これからも認定看護師として更なるスキルアップを心がけていきたいと思います。
仕事でのエピソード
ストーマケア・創傷ケア・失禁ケア領域で援助が必要な患者さんは、院内だけではありません。通院が難しい在宅療養中の患者さんのご自宅へ、在宅医師の許可のもと訪問看護師と共に同行訪問を行っています。管理困難なストーマや真皮を超える深い褥瘡の患者さんが対象になります。実際に、ご自宅での生活状況を見ることで、要因が明確になることがあります。提案した看護ケアにより改善がみられ、患者さんや家族の笑顔を見ると私自身も大変嬉しく思います。これからも地域との繋がりを大切にし、より良いケアを提供できるよう頑張っていきたいです。
皮膚・排泄ケア
認定看護師
濱本 真理子
認定・専門看護師の
仕事紹介
皮膚・排泄ケア特定認定看護師とは、特定行為(医師の包括的指示・具体的指示をあらかじめ作成した手順書をもとにタイムリーに行うことができる特定の診療の補助行為)研修を修了した、皮膚・排泄ケア認定看護師のことを指します。私は以前より皮膚・排泄ケア認定看護師として活動しており、2022年に「創傷管理関連」「ろう孔管理関連」「創部ドレーン管理関連」などの創傷管理に特化した特定行為研修を修了しました。現在は、研修で学んだ臨床推論の知識・技術を用いて医師の指示の下、褥瘡や慢性創傷を持った患者さんの血流のない壊死組織の除去を実践し、患者さんの早期治療、早期回復に努めています。また実践した日々の特定行為について、医師と意見交換や実践の評価を行い、特定行為のスキル向上に取り組んでいます。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
皮膚・排泄ケア認定看護師は、急性期の現場から慢性期・在宅へと患者さんの治療経過にともなって、必要とされるスキンケアや排泄ケアの内容が変化します。
そのため、その時々の患者さんの状態をアセスメントし、ケアを実践することが求められます。予防的なスキンケアの指導や、また治療的ケアが必要な場合は専門的知識に基づき、安全で安楽な治療が受けられるよう、病棟看護師と連携し、患者さんへの情報提供や意思決定の支援、さらにケアの実践を行っています。
病棟看護師とともに、患者さんへのより良いケアについて考え、援助することは大変なこともありますが、良い結果につながった時には、大いに達成感を得ることができ、とてもやりがいを感じます。
仕事でのエピソード
長年、一人でストーマケアを行っていた患者さんが、ストーマ合併症でケアに難渋するようになり、初めてストーマ外来を受診されました。患者さんの困っていることについて、家族や医師とともに、その時に提供できる最善の方法について考え、患者さんが安心して手術を受けられるようサポートすることが出来ました。
退院後のストーマ外来で患者さんが、「私がひとりでスムーズに、ストーマケアをしている様子を家族が見てすごく喜んでくれています。私は家族が喜んでくれることが、とても嬉しいです」と話してくれました。私もその話を聞くことができ、心から嬉しい気持ちになりました。
これからも、患者さん自身はもとより、患者さんの家族や周りの人達にも喜んでいただける看護を目指していきたいです。
摂食嚥下障害看護
認定看護師
平尾 由香子
認定・専門看護師の
仕事紹介
摂食嚥下障害看護認定看護師の役割は患者さんの「食べる楽しみ」を支援することです。嚥下評価を行い、患者さんに適した食事形態の提案を行うとともに、急性期から「食べるための口作り」に向けての口腔ケアや間接・直接訓練について、病棟スタッフや言語聴覚士と相談しながら継続した看護が行えるように取り組んでいます。
また、NST(栄養サポートチーム)に所属し、多職種(医師・歯科医師・看護師・栄養士・薬剤師・理学療法士・言語聴覚士)で患者さんの栄養について、週1回カンファレンスを行い、回診を行っています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
食べることを支援することは、経口摂取が可能になり、ADLやQOLが向上する患者さんを側で見守ることが出来ますが、誤嚥性肺炎や窒息・低栄養や脱水などの二次的な合併症を予防する必要があります。合併症が起こると、摂食嚥下機能の低下を招くだけではなく、命に直結する場合もあるため訓練と評価を慎重に行う必要があります。
摂食嚥下障害の患者さんのなかには、間接・直接訓練を行っても経口摂取が困難な患者さんもおられ、もっと他に自分にできることはなかったのか悩むこともあります。
仕事でのエピソード
食事摂取が進まない時、嗜好に合わせた味や食事形態に変更し、栄養量の調整を行うだけで食事の摂取量が増加し、元気になる患者さんが多くいます。少しの工夫で患者さんの「食べる楽しみ」を取り戻せる可能性があるため、諦めずに患者さんの「食べる」を支援していきたいと思います。
現在、関連病棟で「食べるための口作り」に向けての口腔ケアや間接・直接訓練に力を入れて取り組んでいます。活動する中で、スタッフの口腔ケアや間接・直接訓練に対する意識の向上や、患者さんの口腔内環境や口腔機能の改善がみられ、自分ひとりではなく病棟スタッフの協力による継続看護の力を実感しています。今後は院内の看護師による間接・直接訓練の定着化を目指し、活動範囲を拡大していきたいです。
集中ケア
認定看護師
塩田 妃里
認定・専門看護師の
仕事紹介
集中ケアを必要とする方は呼吸、循環、代謝など、重篤な急性機能不全の状態で生命の危機的状況にあります。集中ケア認定看護師は重篤な患者の全身状態の観察・管理を医師や理学療法士などの多職種と行い病態悪化を防ぎ、早期回復へと導くケアを行っています。
また、NST(栄養サポートチーム)に所属し、重症の方や全身に影響する手術を受けた方、食事が進まない方へ、栄養面からサポートすることで全身状態の回復や術後創部の回復など早期の退院へ向けた援助をチームの一員として行っています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
集中ケアを必要とする患者さんは重篤な状態にあり、専門性の高い技術や知識が必要となり起こり得る変化を予測したケアが必要です。個々の患者さんの状態を把握して、今必要な治療や看護・ケアを医師や理学療法士などの多職種と協働して提供することで状態が良くなった時によりやりがいを感じることができます。
専門性が高くこれまでの経験と知識を統括して看護を行うことが必要です。一緒にケアを行うスタッフに対しても根拠を持った看護が提供できるよう指導・育成を行い、時には一緒に悩み、より良い看護が提供できるように取り組んでいます。
仕事でのエピソード
ベッド上で動けなかったり、会話をすることができない患者さんに対して、必要なケアを把握し提供した際に、笑顔がみられたり、状態が回復して医療機器が徐々に外れていく姿を見たときは嬉しく思います。また、患者さんだけでなくご家族も同様に危機的状況にあるため、ご家族の表情から強い緊張を感じ取った時はその後家族を含めて必要なサポートを行っています。サポートをすることで表情が少し緩み、信頼して話をしてくれたり、相談してくれた時に私達も安堵することができます。
これからも患者さんだけでなく、ご家族を含んだ看護ケアを行っていきたいと思います。
集中ケア
認定看護師
三角 舞
認定・専門看護師の
仕事紹介
集中ケア認定看護師として、生命の危機的状態にある患者に対しモニタリングやフィジカルアセスメント技術を使用し、二次的合併症の予防や、早期回復に向けてのケア提供を行っています。また、患者、家族にとって良いケアが提供できるようにスタッフへの指導および多職種との調整を行っています。さらに医師、理学療法士、臨床工学士、薬剤師、看護師で構成されたRST(呼吸ケアチーム)の一員として、ハイリスク患者の人工呼吸器からの離脱を目指し、週に1回のカンファレンスと病棟ラウンドを行っています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
集中治療を必要とする患者や家族は、過度なストレス状況下にあります。また刻々と状態が変化するため、少しの変化も見逃さずに全人的なアセスメントを行う必要があります。二次的合併症やADLの低下などが起こらないような予防的ケア計画や、退院支援を急性期の時期から介入していきます。医師や理学療法士、栄養士などと日々カンファレンスを行い、ケアの方向性を統一していくことで早期回復というゴールを目指し日々奮闘しています。スタッフの知識、技術の向上を目指した指導的介入や研修会などにも取り組んでいます。
仕事でのエピソード
急性期の時期から合併症予防のために早期離床が重要になっており、人工呼吸器を装着した状況でもリハビリで車椅子への移乗や、集中治療室内での歩行など行っています。マンパワーは必要となりますが、多職種と連携することで行えるケアは増えます。ベッド上ではなく活動している姿をご家族が面会時に見ることで、回復している姿を喜んでいただけます。
集中治療室という緊張感の高い環境の中で働いていますが、危機的状況であった患者さんが、徐々に高度な医療機器が減っていき、回復している状況を実感することが出来ると、やりがいを感じます。集中治療室での記憶のない患者さんも多いですが、退室した後、一般病棟で元気に回復した姿を見ることができるとうれしく思います。
集中ケア
認定看護師
特定行為研修修了者
半崎 隼人
認定・専門看護師の
仕事紹介
認定看護師は特定の分野における熟練した看護技術及び知識を用いて、患者さん・家族へ看護技術の提供を行います。集中ケアは特にクリティカルな状況の患者さんにケアを行うことが多いため、現在は集中治療室で勤務をしています。現在は集中治療の進歩により、集中治療室からの退室も早くなっています。そのために、集中治療室から退室した後の患者の状態も確認し、院内で横断的に実践・指導・相談業務を行っています。また、看護師からの相談だけではなく理学療法士や作業療法士などのリハビリ部門や臨床工学技士などの相談も受けており、院内全体で幅広く活動をしています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
認定看護師となり、院内の人工呼吸器の安全管理、ケアの向上を行うためにRSTを立ち上げました。今では当院のRSTは日本呼吸療法医学界・日本呼吸ケアリハビリテーション学会の認定施設となっています。看護師だけでなく、チームでケアを行うために、認定看護師としての役割が重要です。そして、日々RSTメンバーにも助けられながら楽しく仕事をしています。
また、心臓血管外科医師を始め、各科の医師と協力し、集中治療室の知識とスキルアップができるように、カンファレンスを行っています。ICUではICU勉強会やICUダイヤリーの導入などの新たなケアの取り組みも行っています。集中治療室のスタッフと協力しながらチームで頑張っています。
仕事でのエピソード
集中治療室で長期に人工呼吸器管理となった患者さんが、一般病棟へ転出された後も、認定看護師として相談を受け、集中治療室から退院まで関わることができます。回復された姿を見ることで集中治療室でのケアを頑張ってよかったと心から思えます。集中治療室は治療ばかりで看護師としてできることが少ないのではないかと思う方もいるようです。しかし、ICUで、話ができない、訴えができない患者さんの看護はとても重要で、自分の看護を考えて提供することになります。これからも、集中治療室の看護の質が向上するように頑張っていきたいと思います。
救急看護
認定看護師
切本 真喜
認定・専門看護師の
仕事紹介
救急看護認定看護師は、患者さんの病態の緊急度・重症度を判断することで、急激な状態の変化に応じた看護援助を提供する役割があります。現在は集中治療室で勤務し、救急外来や一般病棟と連携して、継続的な看護を心掛けています。
また、院内で発生した患者急変の現場にかけつけて救命処置を行うとともに、現場の状況を確認し、スタッフが迅速かつ安全に対応ができるように現場の整備を行います。そして、急変対応に携わったスタッフと共に事象の振り返りを行い、改善策の検討を行っています。
一次救命処置を含めた急変対応の知識や技術など救急看護に関する研修を行い、急変を未然に防げる観察力やアセスメント能力を養えるようにスタッフ教育も行っています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
患者さんの急変は救急外来や集中治療室だけではなく、どのような場面においても起こる可能性ありがあります。そのため、看護師、医師のみならず、院内全てのスタッフが急変に対応できるように教育を行う必要性があります。このため、様々な職種とコミュニケーションを図り、情報の共有や統一を図ることが必要となります。当院は職種や職員数が多いため大変ではありますが、このような中で、職員それぞれの行動が患者の救命に繋がる喜びとチーム医療の素晴らしさを知ることができた際には、とても大きなやりがいを感じます。さらに、救命できた患者さんが元気な姿で退院の報告に来てくださったときには、やりがいとともに「もっと頑張らなければ」と奮起します。人との繋がりを大切に「命を救って、生を支える」温かい心のかよった看護を行っていきたいと思います。
仕事でのエピソード
救急および急性期にある患者さんは、急激な状態の変化によって身体的苦痛や不安などの精神的苦痛を伴っています。これは患者さんだけではなく、ご家族や友人など患者を取り巻く方々も同様です。この苦痛を吐露できずに苦しんでいる方に寄り添い、少しでも緩和できるような関わりを持ちたいと思っています。
患者さんの病態の改善が患者さん自身の喜びとなり、ご家族の喜びへと繋がっていく、そして携わった医療スタッフの喜びとなり、喜びが連鎖していきます。このように患者さんやご家族から多くの力をもらっています。これからも救急看護に対する知識と技術の向上に努め、患者さんの救命や最善の治療を迅速に、より安心・安全・安楽に提供することを心掛けていきます。
救急看護
認定看護師
大泉 恵未
認定・専門看護師の
仕事紹介
認定看護師の役割である実践・指導・相談を常に意識し、業務にあたっています。当院の救急室は、突然の発症や受傷で救急搬送や受診される方がほとんどです。救急室では生命に関わる疾患や、緊急性のある症状なのか診断するために検査や処置が実施されます。そんな中、搬送された患者本人の不安や症状は高い状態であるとともに、その家族も同様です。そのような患者・家族の不安や症状の緩和を図るため声掛けは常に実施しています。また、搬送されて来た全患者の不安の軽減を図る必要性など、救急室のスタッフ全員で勤務終了時には振り返りを実施し、リフレクションする時間を設けています。そこで出た意見を今後の看護に活かせるよう情報共有の場となるようファシリテートしています。
また、夜間にウォークインで来院される患者には、院内トリアージを実施しスタッフ教育をしています。症例カンファレンスを実施し、スタッフの知識向上を目指しています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
重症患者が搬送されてきた時に、患者の状態を悪化させることなく入院病棟や検査、手術室へ出棟することが出来た時です。救急室での対応は、正確に確実な実践が求められ、お互いに声を掛け合い、患者を救命したいと一丸となってチーム医療が展開できたときはとてもやりがいを感じます。しかし、そのような状況のときは、かなり緊迫した状態であり、スタッフ同士のストレスはかなり高いです。その時にリーダーシップを発揮し、スタッフ間の指示を出し、処置や検査が短時間で進んだときはひとしおです。
仕事でのエピソード
私が救急認定看護師を目指したのは、上司の勧めがきっかけでした。ずっと救急で実践していたのですが、「認定になって何が変わる?」と疑問でした。多数のスタッフの中から自分を選んでもらえたことや、他のことをやってみたいと思っていた時期でもあり、騙されたと思って学校に行ったのを覚えています。今となっては、勧めてもらって本当によかったと、とても感謝しています。看護や実践など自分の行動一つ一つに意味や根拠を考えるようになり、それを後輩育成に活かしています。ピンチはチャンスと言いますが、その通りだと思います。これからもチャンスがあれば前進していきたいです。
感染管理
認定看護師
川口 尚子
認定・専門看護師の
仕事紹介
感染管理認定看護師には、患者さんだけではなく、その家族や面会者、職員など病院に関わるすべての人を感染から守るという役割があります。そのため、感染対策チーム(ICT)や抗菌薬適正使用支援チーム(AST)に所属し、医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師などの多職種と協働しながら、病院全体を対象とした活動を行っています。感染管理認定看護師の大きな役割のひとつに、医療関連感染サーベイランスを実施が挙げられます。医療に関連した感染の発生状況の把握を行うとともに問題点を明らかにし、現場で実践できる根拠に基づいた改善策を提案します。病院職員一人一人が感染を意識し、適切な感染対策が実践できるよう活動しています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
感染管理認定看護師は、認定分野の中でも「看護」ではなく「管理」が求められ、これまでに培った臨床での看護経験に加え、感染に関する体制構築やデータなどを管理する能力が求められます。感染管理は、目に見えない細菌やウイルスなどの微生物をターゲットに対策を行うという難しさがありますが、感染対策の成果は、感染率や遵守率といった数値によって客観的に評価され、目に見える形で結果が返ってくる面白さがあります。そして、その結果を共に取り組んできた仲間と共有することができ、感染管理活動へのモチベーションの維持や向上につながっています。
仕事でのエピソード
2019年に発生した新型コロナウイルスウイルスの世界的大流行を受け、ICTが中心となり、ゼロから感染対策を構築する過程は、想像を超える大変さがありました。しかし、ICTが第一線に立ち、未知のウイルスと向き合う中で、少しずつ院内での理解が深まり、仲間が増え、組織全体で取り組む体制が整いました。院内で感染管理活動が理解され、同じ目標に向かって取り組む仲間が増えることで、より感染対策は強化されていくと感じています。感染対策は、決してひとりの力で行えるものではありません。これからも、看護部だけでなく、医師やメディカルスタッフ、事務部門など全ての職種と協力し、それぞれの職種が専門性を生かした取り組みが出来るよう、今後も活動を継続していきたいと思います。
感染管理
認定看護師
堀越 敦子
認定・専門看護師の
仕事紹介
感染管理認定看護師は、院内におけるあらゆる部署で発生する感染に対する問題や情報を集約し、根拠に基づいた対策や情報を発信することで、感染症の蔓延防止に努めるという大きな役割を担っています。看護師だけでなく、様々な職種のつなぎ役となり感染防止に関する知識の提供や相談窓口となることで、院内全体の感染防止体制の調整を行っています。2019年12月に始まった新型コロナウイルス感染症の世界的流行においても、院内への持ち込みや感染伝播防止に向けて中心となり活動しています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
感染管理認定看護師の仕事は、データやプロセスなどを適切に分析・評価して改善行動につなげていく仕事です。サーベイランスは感染管理認定看護師の役割で最も重要であり、すべての入院患者を対象とした感染症発生の有無、耐性菌の検出状況や手指消毒用アルコールの使用状況など、非常に多くのデータを取り扱い、そのデータを元に細やかに教育や指導を行っていく必要があります。感染症患者のトリアージが適切に行われなければ大きなクラスターにつながることもあり、非常に緊張を強いられる仕事ですが、その成果は感染率などの数値として確認することができます。数値で測れることがやりがいに繋がっているなと感じています。
仕事でのエピソード
私が感染管理認定看護師の資格を取得したのは、新型インフルエンザ(インフルエンザAH1N1)が大流行した2009年でした。発熱外来の整備やワクチン接種の調整、マニュアルの作成や備蓄の整備など、院長を始め各部門の責任者とともに連日会議を開催し、各部門の協力を得ながら対応に当たりました。それまで当院では固定メンバーでの感染対策チームも確立されておらず、感染管理認定看護師として中心となりパンデミックの対応を手探りで一つ一つ整備しなければなりませんでした。本当に大変な経験でしたが、このパンデミックの経験は私にとって感染管理認定看護師としての礎を築くいい経験になりました。この経験があったからこそ、今回の新型コロナウイルス感染症への対応にもその時の経験を活かすことができていると感じています。
認知症看護
認定看護師
湊 静佳
認定・専門看護師の
仕事紹介
現在、入退院支援室に所属して活動しています。認知症看護認定看護師の役割は、認知機能障害及び身体疾患の合併による影響をアセスメントし、各期に応じたケアの実践を行い、安心・納得して住み慣れた環境へ戻ることを援助することです。
日常の業務内容は認知症ケア加算1の活動を中心に行っています。週に1回のカンファレンス開催、各病棟のラウンド、認知症に関する研修会を行っています。また、月に一度、認知症・退院支援委員会の開催をしています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
当院は急性期病院であり、入院時に病棟スタッフが高齢者総合的機能評価やせん妄ハイリスク患者のスクリーニングを行っています。その結果、認知機能が低下している患者さんの症状悪化の把握や、せん妄リスクが高い患者さんの予防対策が早期から可能となります。入院後、個別性に応じたケアについては、入院前の生活情報を基に患者さんの一言や繰り返される行動から、病棟スタッフ、多職種間でいろんな気づきを話し合うことが多くあります。その患者さんにとって何が最善なのかを繰り返し考え、安心して療養生活を送り退院を迎えるまでのプロセスが看護におけるやりがいとなっています。
仕事でのエピソード
入院後、患者さんは身体・精神的に辛い状況であるにも関わらず、認知機能の低下や治療により、うまく医療者側に言葉で気持ちを伝えることができないことがあります。その結果、認知症の症状は急に悪化してしまうこともあります。入院までの生活史から、今置かれている患者さんの気持ちを汲み取ること、患者さんの声なき声の行動を紐解くことは容易ではありませんが、そこにはケアにつながるヒントが隠されていることが多いです。患者さんのできないことばかりに目を向けてしまうのではなく、カルテにはあまり残されないエピソードや、笑顔が見られた時のケアを振り返り言語化することを心掛けながら活動しています。
慢性心不全看護
認定看護師
文 智映(ぶん ちえ)
認定・専門看護師の
仕事紹介
慢性心不全看護認定看護師は、主に心不全の病態と慢性心不全患者の身体的・精神的・社会的な対象特性に応じ、在宅療養を見据えた生活調整を主に行っています。
近年、心不全患者は増加傾向であり、当院でも心不全のため入退院を繰り返している患者さんは多数おられます。心不全になると在宅復帰に向けて生活習慣の見直しと修正が必要不可欠です。しかし患者様はそれぞれの生活があり、疾患の捉え方や価値観は全く違います。まずは患者さんが心不全についてどのように捉えており、どのように理解しているのかを日々の関わりのなかで把握したうえで、退院後に実践できる方法を一緒に考えるようにしています。
また定期的にスタッフへ勉強会を行い、ケアの方法や患者指導のポイントを伝え共有し、一貫性のある看護を提供できることを目指しています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
急性期には呼吸困難感や倦怠感などの症状で苦痛を感じていた患者さんが、治療により改善し、在宅復帰に向けて一緒に目標を立て、実際に患者さん自身が体重や血圧を測定し自己管理されている姿を目にしたときには、とてもやりがいを感じます。また退院し自宅でも元気に過ごされ、自身の趣味や仕事を行い充実した私生活を送っていると聞いたときには、更にやりがいを感じます。
しかし心不全は増悪と緩解を繰り返しながら心機能は低下していき、徐々に全身状態も悪化していく疾患であり、それを伝えることはとても心苦しいです。患者さんの気持ちに寄り添い、時にはご家族の力も借りながら徐々に受け入れができるように関わっています。
仕事でのエピソード
慢性心不全看護認定看護師を目指すようになったきっかけは、上司の薦めでしたが、当初は認定看護師になることにとても躊躇しました。しかし病棟には心不全増悪のため、入退院を繰り返している患者さんが多くおられ、その度に患者指導やセルフケアサポートが行き届いていないのだと悔しい思いもありました。認定看護師になりまだ経験も浅く、戸惑うことも多いですが、病棟スタッフのサポートを受け自身に出来ることを探し、実践につなげていこうと日々考えております。
がん看護
専門看護師
瀬戸川 勝敬
認定・専門看護師の
仕事紹介
がん看護専門看護師の活動として、がん領域の実践、相談、調整、倫理調整、教育、研究の6つの役割があります。主な活動としては、がん看護の質向上を目的としたスタッフ教育とがん診療連携拠点病院としての役割の一つであるがん相談支援を行うため、主に外来の患者さんやご家族のための看護外来(がん看護専門外来)を行っています。 患者さんやご家族が安心してがん診療を受け、療養生活を送っていただくためには、医師だけではなく、多くの専門職が協働して一緒に問題に取り組んでいくことがとても重要です。そのため、患者さんやご家族が本来もつ力を発揮し、前向きに取り組めるよう、多くの専門スタッフと連携し、サポートしています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
患者さんやご家族からの相談内容には治療や今後の見通しに対する不安、治療の副作用、日常生活における悩みや心配など様々です。病気になることで心身だけではなく、経済的なこと、家族や医療者との関係など複雑な問題を解決することは容易ではありません。簡単なことではありませんが、一人でも多くの患者さんやご家族の助けとなり、患者さんがその人らしく、ご家族と共に生きていくことをサポートし、支えていきたいと、日々考えています。関わりの中で、患者さんやご家族から多くのことを学ばせていただき、その人との出会いに感謝することをいつも忘れないように努めています。
仕事でのエピソード
悩みを抱えて相談に来る方には、ご自身の現状を「暗闇のトンネルの中をずっと走っている感じです」と表現されることがあります。始めは俯きながら話している方が徐々に力強く語り始めます。心の整理をする中で光が灯る瞬間があり、その時「トンネルの先に光が見えてきました」とご自身の本来持つ力を取り戻していく姿を目の当たりにした時、患者さんやご家族にとって少しでも役立つことが出来て良かったと感じます。
慢性疾患看護
専門看護師
黒澤 佳代子
認定・専門看護師の
仕事紹介
慢性疾患の中でも脳卒中急性期から慢性期の臨床経験から特にリハビリ看護や認知症患者さんのケア、生活習慣病の予防全般に興味があり活動しています。現在は回復期リハビリ病棟の師長でもあり、高次脳機能患者さんの看護や退院支援の困難事例について、スタッフや多職種とともに介入しています。また当院の認定看護師による活動のサポートもしており、認知症ケアサポートチームや摂食機能療法の立上げの支援、専門・認定看護師が主となる教育活動「専門コース」の立上げや取りまとめなど、看護の質向上のため取り組んでいます。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
自部署以外の管理者や認定看護師、自部署である回復期リハビリ病棟のスタッフから、脳卒中や心不全・認知症患者さんの関わりで困っている事例、また管理者からスタッフへの教育目的で間接的な介入を依頼されることがあります。介入によりスタッフの患者理解やケアにつながることでやりがいになります。また以前にメンバーとして活動していた認知症ケアサポートチームでは、多職種で日々カンファレンスや意見を交わし、質を高める活動ができ、非常にやりがいを感じていました。一方大変さは、脳卒中後の症状緩和や情動障害の対応など自分の力が及ばず良い効果が出ないことです。その際には他の認定・専門看護師、多職種などに意見を求めベターを目指すようにしています。
仕事でのエピソード
回復期リハビリテーション病棟に入院していた全失語の女性高齢者患者さんのエピソードです。当該病棟の管理者より、スタッフがコミュニケーションを取れず困っていると相談を受けました。言語的コミュニケーションの回復は絶望的な中、まずは信頼関係を築くために、ジェスチャー・アイコンタクト・タッチングといった非言語的関わりやユマニチュードを活用した結果、徐々に信頼して下さるようになり、意思疎通も図れるようになりました。リハビリにより食事摂取も可能となりスタッフとも意思疎通が図れ、笑顔で退院されたことは今でも印象に残っています。
小児看護
専門看護師
林 奈津子
認定・専門看護師の
仕事紹介
小児看護専門看護師の役割は、子どもたちが健やかに成長・発達していけるように療養生活を支援し、他の医療スタッフと連携して水準の高い看護を提供することです。私は小児科、免疫・アレルギーセンターの外来に勤務しており、小児一般外来、健診や予防接種を通して、受診に来る患児やその家族に必要なケアを提供しています。当院はアレルギーをもつ患児が多く通院しており、気管支喘息やアトピー性皮膚炎、食物アレルギーをもつ子どもたちが日常生活を円滑に送ることができるように、医師やその他スタッフ、地域、学校の先生等と協力しながら援助しています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
小児看護は対象が0才から18才で、乳児、幼児期、学童期、思春期と絶え間ない成長発達をとげる時期であり、小児期の過ごし方はその後の身体的・精神的・社会的発達や日常生活に大きく影響を与えます。病気を抱える子どもたちと関わることは病気に対するセルフケアを獲得していくことはもちろんのこと、それぞれの発達段階に応じたケアをすることが重要です。このような関わりをもつためには、専門的な知識を有し、適切にアプローチする力が必要だと考え、やりがいを感じています。専門看護師としての経験がまだ浅く、外来では十分に関わる時間を確保することの難しさを感じています。
仕事でのエピソード
幼児期の子どもの家族から相談を受けました。医師から指導されている治療を、親は創意工夫して実施しようとしていましたが、子どもが嫌がり、親は受診や治療の継続に大きな負担を感じていました。こういった症例に関わる時、子ども自身に「嫌な理由」を教えてもらうことを大切にしています。子ども自身の言葉で思いを話してもらうと、子どもはそれぞれ様々な思いを抱え、治療に取り組んでくれていることが分かります。そうすることで、親も私たちも子どもの思いに気づくことができ、子どもの頑張りを引き出すことにつながり、「子どもを看る」ことの面白さだと実感しています。
皮膚・排泄ケア
認定看護師
溝尻 由美
認定・専門看護師の
仕事紹介
皮膚・排泄ケア認定看護師とは、創傷・ストーマ(人工肛門)・失禁看護の分野において患者さんに対してのケア実践だけでなく、医師や看護師等からの相談を受けたり、ケア方法の指導を行う役割があります。
この分野では、主に褥瘡や手術創、高齢者に多くみられる皮膚裂傷(スキン-テア)等の創傷ケアや、手術前から社会復帰後に継続的に関わるスト-マのケア、排尿や排便にまつわるトラブルに関するケアを行っています。現在、私は褥瘡対策チームと排尿ケアチームのメンバーであり、またストーマ外来の担当もしていることから、様々な職種の方々と連携しながら患者さんへのケアを提供しています。また、老人施設や訪問看護ステーションからも褥瘡やスキン-テア、ストーマケアに関する依頼を受けているため、病院以外での活動も行っています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
褥瘡は、同じ姿勢で長時間過ごすことによって皮膚に血流障害がみられ発生する創傷です。とくに低栄養や、痩せて骨が突出していることがリスクとなります。そのため、褥瘡を予防、また治療のために看護ケアや環境の調整などの取り組みを行いますが、これらのケアは一人の力では十分に効果が発揮できません。 私は、褥瘡対策チームの一員としてこれまで活動してきました。予防ケアを行っていても褥瘡が発生してしまうことや、なかなか改善しないこともあり、大変さを感じることはありますが、患者さんを中心に病棟看護師や医療スタッフが同じ目標に向かってケアしていくことにやりがいを感じています。
仕事でのエピソード
私が看護師7年目の頃、ストーマ造設手術後の合併症により、ストーマケアに難渋した患者さんを担当しました。主治医や病棟看護師と共に悩み、試行錯誤しながらストーマケアを行った経験から、専門的な知識をもっと学びたいと感じました。また、自分自身だけでなく、他の看護師が困ったときに一緒に問題を解決できるための根拠のある技術を習得したいという気持ちから認定看護師になりました。
自分が行ったケアにより患者さんやその家族が笑顔で退院し、社会復帰をした時や、相談をうけた看護師が自信をもって看護を提供している姿を見た時、認定看護師として活動してきてよかったと思う瞬間です。
がん看護
専門看護師
渡部 昌美
認定・専門看護師の
仕事紹介
がんの患者さんは「告知」、「治療とその副作用」、「緩和ケア」、「治療と仕事の両立」など様々な課題に直面しながら、何を大切にどんな生活を送るかを考え、日々を生きています。
がん看護専門看護師は、がん医療のすべてのプロセスを通して、患者さんやご家族に直接ケアを実践し、共に働く看護師とよりよいケアを模索したり、カンファレンスに参加するなどチーム医療が効果的に実践できるように調整したりして多職種と協働しています。また、これらの活動を通して、研究的な視点や倫理問題の解決をはかることを大切にしています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
私は、がん診療支援センターに所属し、患者さんやご家族からの相談支援を担当しています。相談室に来られる患者さんは、問題が複雑に絡み合っていることが少なくありません。困り事や悩みが明確ではない場合には、患者さんの体験や感じていることを傾聴しながら、患者さんの持つ力を信じて一緒に困難を乗り越えることを大切にしています。
一方で、新しい治療や研究成果など知識のアップデートに努めることも大切なため、パソコンに向かう時間が増え、睡眠不足にならないよう自分自身のストレスマネジメントにも気をつけることを心がけています。
仕事でのエピソード
印象深い女性患者さんがいます。彼女は語学が達者で、教育の仕事をしながら子どもを育て、人生の最終段階でがんの診断を受けました。がん薬物療法からのスタートになりましたが、英語文献を徹底的に調べ、食事制限や太極拳などがんに効くあらゆる方法をすべて試すパワフルな女性でした。海外の最新エビデンスを確認したいと何度もがん相談支援センターを訪れ、その度に一緒に調べました。私にとっては大変な作業でした。彼女は語学力のない私を笑い、私は落ち込みながらも辞書をひき、わからないことは宿題にしてもらい、担当診療科の医師に助言を受けながら対応しました。ある日、彼女は、がん相談支援センターの存在は、死ぬまでの「寄りみち」だと言い、短歌を詠んでくれました。
がん相談支援センターは、病院の中にありますが、病院(医療行為)とは一線を画するような性質もあり、相談員は病院職員ではありますが、ひとりの人間として相談者に対峙できる貴重な部署であるということを実感しました。彼女の短歌は私の宝物です。
緩和ケア
認定看護師
中嶋 砂織
認定・専門看護師の
仕事紹介
緩和ケア認定看護師の役割は患者さんとそのご家族のからだや心など、様々なつらさを和らげ、その人らしく日常生活を過ごすことができるように支援することと考えています。
私は緩和医療室に所属し緩和ケアチームの一員としてがん患者さんとそのご家族を支援しています。具体的な活動としては、医師・薬剤師・栄養士・MSWなど多職種で構成されている緩和ケアチームで、週1回、定期にカンファレンスと病棟ラウンドを行い、がんに伴う身体的・精神的苦痛の緩和にあたっています。また、スタッフからの緩和ケアに関する相談に応じながら、患者さんの苦痛を和らげるためのケアをともに考え症状緩和に努めています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
緩和ケアを対象とする患者さんはがんに伴う痛み、呼吸困難、嘔気、嘔吐など、様々な身体のつらさがあります。また、身体だけでなく、治療や今後の過ごし方への不安、気持ちの落ち込みなど、心のつらさが続くこともあるため、緩和ケアチームのメンバーがそれぞれの専門性を発揮し、力をあわせて取り組みます。しかし、緩和ケアチームの力を合わせて取り組んでも、患者さんの症状がなかなか和らがないときには大変さを感じます。
私は認定看護師として、一人でも多くの患者さんが身体だけでなく、心のつらさが和らぎ、患者さんがその人らしく過ごせるお手伝いができたときにやりがいを感じます。これからも緩和ケアチームの一員として、患者さんのからだと心のつらさが少しでも和らぐことができるよう、また、その人らしく過ごせるよう力を尽くしていきたいです。
仕事でのエピソード
私にとって忘れられない患者さんとのエピソードがあります。 がんが見つかり抗がん剤治療を受けましたが、体力が続かないため「治療をしない」と選択された患者さんがいました。その患者さんは「人生限りがあるなら、同じ天井を向いて過ごすよりは、笑って過ごしたい。」と話され、その後はおだやかな日々を過ごされていました。しかし、病状の進行に伴う痛みや身体のだるさが増え、次第に表情が険しくなっていきました。私は、患者さんが、少しでも痛みが和らぐことを願いながら、痛むところに円を描くように、ゆっくりとマッサージを行いました。マッサージ後、表情が和らぎ「なおった、なおった。ありがとう。神様の手みたい」と言われ、笑顔を見せてくれました。マッサージの効果は「触れる」という手技により、人間の温かみや思いやりを伝えることができるケアです。私は、これからも人としての温かさや思いやりを大切にし、一人ひとりの患者さんの心に寄り添うことができるよう支援していきたいです。
緩和ケア
認定看護師
井上 恭子
認定・専門看護師の
仕事紹介
緩和ケア認定看護師は、病気と診断されたその時から、病気に伴う体や心のつらさを多面的に捉え、適切なケアを提供し、つらさを和らげ、その人らしく生活することができるようにサポートする役割があります。
緩和ケアチームは、医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・ソーシャルワーカー・リハビリスタッフで構成されています。患者さん・ご家族、それらを支える医療スタッフをつなぎながら苦痛症状の緩和、その人らしく生活することを大切に支援しています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
2023年に緩和ケア認定看護師を取得し、緩和ケアチームの一員として走り出したばかりです。緩和ケア=終末期というイメージが、患者さんやご家族、医療スタッフの中でもまだまだ強いのが実情です。
予期せぬ診断を受け、患者さんやご家族はこれからどうなっていくのだろう?治療の副作用は?仕事は続けられる?など身体的だけでなく精神的、社会的な不安やつらさを抱えておられます。医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、リハビリ、ソーシャルワーカーで構成されている緩和ケアチームと、患者さん・ご家族を支える医療スタッフと連携をとりながら、診断時から緩和ケアが提供できるように取り組んでいきたいと思います。
仕事でのエピソード
中津病院に就職し、がん患者さんが多い呼吸器内科の病棟に配属されました。
がんの診断を受け、治療期、維持期、終末期と継続して関わっていく中で、ご家族の「最期は自宅で看取りたい」というご希望をうかがい、まだまだ未熟だった私は院内だけでなく院外の様々な職種の方に協力していただき、在宅の調整を行いました。ご本人、ご家族のご希望通りご自宅で最期を迎えられ、その後ご家族がとても穏やかなお顔で来院されました。亡くなる数日前に少しビールを飲んでお誕生日会をしたこと、ご家族全員が集まり1人1人にお別れを伝えられ、患者さんより感謝の言葉を聞くことが出来たこと、自宅で看取ることができて本当に良かったとお話をうかがい、限られた時間の中でも希望を持ち、その人らしい時間を過ごすことの素晴らしさを学ぶことができ、私の看護の原点となっています。
がん看護
専門看護師
上口 望
認定・専門看護師の
仕事紹介
私は、2023年にがん看護専門看護師の資格を取得しました。「がん」は告知された時から最期の時まで様々な場面で、患者さんやそのご家族の方々たちが描いていた生活を一変させます。
がん看護専門看護師はがん患者やそのご家族に対し、私自身が直接相談を受けケアを行うだけでなく、がん患者やそのご家族に関わる看護師と患者達が望む生活を行うためにはどのようにしたらいいか一緒に考えたり、他の医療者を巻き込んでチーム医療が行えるように多職種で連携し、ケアが行えることを目標としています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
私は病棟に所属し、業務を行いながら、がん患者やそのご家族と関わっています。病棟に入院される患者さんは、がんと告知されてから日が浅く初回治療のために来られる方から、痛みなどの症状が出てきたため症状のコントロールや療養先の調整のために来られる方まで、入院の目的は様々です。そのような患者やご家族の悩みや困っている症状を、出来るだけ早くに解決できるよう、患者やご家族の体験や思いをその都度確認しながら病棟全体で一緒に支え、問題解決に繋げられるようなサポートを意識しています。
資格を取得してから日が浅く、がん看護専門看護師として未熟なことも多いため、活動範囲を少しずつ広げていけるよう実践経験を積み重ね、日々関わった事例を振り返り、学びを深めています。
仕事でのエピソード
私が看護師3年目の頃、痛みや吐き気などの色々な症状により食べることが難しくなり、症状緩和と療養先の調整目的で入院された消化器関連のがん患者を担当しました。担当の医師や病棟の先輩看護師とともに悩み、本人の望む生活に近づけるにはどう関わればいいのか悩んだ時に、相談に乗ってもらい助けられたのが、がん看護専門看護師でした。その経験から緩和ケアやがん看護により興味を持ち、専門的な知識を自分が身につけるだけでなく、今度は自分が他の看護師が困った時に一緒に考え、助けることができるようになりたいという思いを抱き、専門看護師の資格取得に至りました。
自身の関わりにより、患者の症状が軽減して表情に明るさが戻ったり、その姿をご家族にも喜んでもらえたり、患者さんとの関わり方に悩んでいた看護師が自信をもってケアを行っている姿を見ることが出来た時に、がん看護専門看護師になってよかった、これからも頑張ろうと心から思いました。
家族支援
専門看護師
佐藤 美樹
認定・専門看護師の
仕事紹介
家族の一員が“病気を患う”という出来事は、患者さん本人だけでなく、そのご家族全体に様々な影響を及ぼします。多くのご家族は、ご自分たちで対処していく力をもっていますが、受けた影響の大きさによっては、その力を発揮することが困難になります。家族支援専門看護師は、そのような状況にある患者さんとご家族に対して、ご家族間の相互理解を深めながら、ご家族が自分たちの力で状況に立ち向かい、対処していけるように支援する役割を担っています。またスタッフの、「家族へのケアが必要だと感じているけど、どのように声をかけたらよいか悩んでいる」、「患者さんとご家族の意見が異なり、なかなか治療や療養の方針を決めていくことが難しく困っている」、「家族にどこまで踏み込んでいいのかわからない」など、ご家族に関わる様々な相談を受け、その部署のスタッフとともに患者さん・ご家族を支援しています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
私の関わりを通して、ご家族が本来もつ力を取り戻し、ご家族で状況に対処し行動されていく姿や、ご家族のつながりが強まったと感じられた時など、家族支援専門看護師としての存在意義ややりがいを感じます。何より、患者さんとご家族に笑顔が戻った時や、感謝の言葉をいただいた時には、私も嬉しくなります。同時に、家族形態の縮小や多様化により、当院でも老老介護や、育児・介護のダブルケアなど、複雑な家族背景を抱えるご家族が増えています。ご家族それぞれにより、抱える課題はさまざまであり、そういったご家族の多様性に合わせて支援の方向性を検討する際、やりがいとともに、難しさを感じます。
仕事でのエピソード
私が家族支援専門看護師をめざすきっかけとなったのは、訪問看護師として経験を重ねる中で、介護を肯定的に捉える家族と否定的に捉える家族、その違いは何なのか、看護師の関わりも関係するのではないのだろうかと疑問をいだいたことがきっかけです。その後家族看護学について学びを深めたいと、大学院に進学しました。在宅や臨床で、これまで関わらせていただいた患者さんやご家族との関わりから多くのことを学ばせていただき、全てのエピソードが私自身の財産となっています。
感染管理
認定看護師
永田 夏子
認定・専門看護師の
仕事紹介
感染管理認定看護師は、患者さんとその家族、職員を含む病院に関わるすべての人を感染症から守るために活動する役割があります。病院内の感染管理では、医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師の多職種がチームとなり、現場で実施している感染対策を定期的に確認し、評価を行っています。感染症は原因となるウイルスや細菌などにより、感染のリスクが異なります。感染症が疑われた時点から、必要な感染対策が実施できるよう体制を整え、関わるすべての人を感染から守り、感染症が発生した場合には感染を広げないよう、活動しています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
感染管理認定看護師には、感染症の原因であるウイルスや細菌など微生物による感染力、感染症の患者さんとの接触状況などから、必要となる感染対策を指示する判断力が求められます。目に見えないウイルスや細菌などから感染対策の必要性を判断し、感染を広げないために、現場での感染対策の実施を調整することが、みなさんを感染から守る感染管理になります。感染対策を実施した結果、感染率の減少につながることが成果として現れるため、経験を重ね、様々な事例に対応できるように努めていかなければならないと感じています。
仕事でのエピソード
感染管理認定看護師として活動を始めたばかりではありますが、病院内の感染管理は感染症が発生した時に対応するだけではなく、平常時から感染対策が実施できているか確認しておくことが必要にあります。そのため、定期的に病院内のラウンドを行い、現場での感染対策の実施状況を確認しています。ラウンド結果は現場へフィードバックし、所属長をはじめ看護部感染対策委員等と連携を図り、改善に向けて取り組んでいます。ラウンドとフィードバックを繰り返すことで、現場で適切な感染対策が定着していくことを実感しています。
精神科
認定看護師(日本精神科看護協会認定)
中田 郁子
認定・専門看護師の
仕事紹介
精神科看護とは、こころの健康について援助を必要としている人に対し、個人の尊厳と権利擁護(アドボカシー)を基本的な理念として、専門的な知識と技術を用いて、自律性の回復を支え、その人らしい生活ができるように支援することです。
精神科看護でいう「こころの健康についての援助」とは、単に精神疾患に起因するものだけにとどまらず、すべての人々を対象とする幅広い支援活動を意味しています。
ライフサイクルやライフイベントに応じて、ご本人だけでなく、家族や友人、職場などにも働きかけ、様々な職種や関係機関と連携し協働をはかります。
現在は、認知症ケアチームやリエゾンコンサルテーションの活動を通して、質の高い精神科看護を実践し、相談・指導を行い、知識の発展に貢献しています。
認定・専門看護師の
やりがいと大変な部分
こころに不調を感じている方は年々増えています。生涯を通じて5人に1人がこころの病気にかかるといわれており、特別な人がかかるものではなく、からだの不調をきっかけに、不安やつらい気持ちを抱えてしまうことも多くあります。
しかし、目に見えないこころの不調は、周囲の人には気づかれにくく、自分からも伝えづらいため、「こころ・からだ・生活」の状態を踏まえた包括的な視点を持ち、専門的な知識と技術を用いて対象となる方々に寄り添うことが大切だと考えられています。
気持ちの整理を共に行い、支援者や周囲の理解を促しながら、ご本人がご本人らしく過ごせるための支援活動を行うことは、とても難しいですが、やりがいがあります。
仕事でのエピソード
思いもしなかった病気により様々な不安に直面していても、精神的な不調には「こころが弱いからだ」とネガティブな印象が根強く「気持ちの持ちようだ」と考えて、辛さやしんどさを訴えることに、抵抗感を感じておられる方によく出会います。
それぞれの思いに寄り添いながら、こころの理解について正しい情報をお伝えし、家族や仕事への思いなどをお聞きし、心配事にひとつひとつ取り組むことで、笑顔が増えていく場面に立ち会える時、とても貴重な体験をさせていただいたと感じます。
今後も、精神科看護の専門家として「こころの健康」について幅広い支援活動に取り組んでいきたいと思います。
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