拠点病院として

大阪府済生会中津病院では、がん診療に積極的に取り組んでいます。各診療科では、関与する診療部門のがん治療に取り組んでおり、大阪府下でも有数の診療実績を誇っています。

がん診療においては、各診療科だけではなく、支援部門の働きも重要となっています。大阪府済生会中津病院では、がんの診療において次のような組織や施設の整備と、業務の拡充をしてきました。
さらに、組織的な改善策を講じるためにISO 9001の認証を取得し、PDCAサイクルの確保に努めています。

1.外来化学療法室の整備

  • 2004年4月に外来化学療法室を設置しました。現在では、外科、乳腺外科、消化器内科、呼吸器内科、血液内科、婦人科、口腔外科、形成外科の外来化学療法を対象にして運営しています。
  • 外来化学療法室では、1ヶ月に350件から450件の外来化学療法を施行しています。
  • 抗がん剤の調製は、薬剤部の協力を得て薬剤師の手によって行っています。

2.緩和医療の充実

  • 2009年に緩和ケアチームを立ち上げ、入院されている患者さんを中心に年間100名程の依頼を受け活動しています。現在は、緩和ケア認定看護師、がん看護専門看護師を中心に患者対応を行い、医師、薬剤師、栄養士などと共に、週に1度、緩和ケアチームでのカンファレンスとチーム回診を行っています。
  • 緩和医療においては、チームでの医療活動が重要となります。そのため、当院では診断時には苦痛のスクリーニングを実施し、患者さんと医療者が相談しやすい環境を整えています。がん患者さんやそのご家族が抱える問題に対して医師、薬剤師、看護師以外に医療ソーシャルワーカーや理学療法士、栄養士など様々な専門職が個人のニーズに沿った対応ができるよう連携体制をとっています。入院されている患者さんやご家族に対して、緩和医療室の緩和ケア認定看護師、がん看護専門看護師がニーズに合った適切な対応を一緒に考えさせていただいています。
  • がん患者支援の1つとしてがん看護専門看護師、緩和ケア認定看護師による『がん看護専門外来』を設置しています。主に治療による副作用への対応や精神面のケア、治療や療養場所の意思決定などの支援を行っています。
  • がん患者さん同士やそのご家族が語り合える場として、がん患者サロン『つなぐ』を開設しています。サロンは月に1回開催しており、語りに場としてだけではなく、アピアランスケアなども実施しており、多くの患者さんが参加しています。
  • がん対策基本法に謳われているように基本的な緩和ケアはすべての医療従事者が実施することが必要です。そのため、当院では北野病院と共催し医療者対象に緩和ケア研修会を毎年開催しています。また、がん領域において著名な先生をお招きし、講演会を適時開催しています。院内スタッフに対してはがん診療に携わる医師や看護師、リハビリのスタッフなどによる勉強会を定期的に開催し、緩和ケアの周知とケアの質の向上に努めており、がん医療の均点化とがん患者さんやご家族に対するケアの質向上を目指しています。

3.放射線治療部門の整備

  • 2010年4月に放射線科から分離独立した放射線治療科で放射線治療を行っています。2023年9月に放射線治療装置(リニアック)を更新しました。
  • 高精度放射線治療システムにより、さまざまな部位の治療が可能になりました。強度変調放射線治療(IMRT)、画像誘導放射線治療(IGRT)、脳定位放射線治療、体幹部定位放射線治療(肺癌など)といった高精度放射線治療を積極的に行っています。ガンマナイフ、トモセラピー、サイバーナイフ、ノバリスといった装置は高精度放射線治療の専用機ですが、それらと同等の治療ができます。
  • 専門の医師と、専門の放射線治療技師と、常勤の医学物理士によって、精密な治療を実施しています。

4.がん相談支援

  • 近年のがん診療は、治療法の急速な進歩により、大きく変化しつつあるのが現状です。最近では、がんも慢性疾患と言われるようになり、治療の効果がみられれば長期生存が可能になってきています。それらを背景に多くの患者さんは治療を受ける期間が長くなり、経済的負担や、治療による副作用、将来への不安など、患者さんとご家族が抱える悩みは多様となっています。その人らしく「がんと共に生きる」ことをサポートできるように、当院では患者さんやご家族のがん相談を行っています。
  • 患者さんやご家族が安心して治療が受けていただける環境を整えるには、医師だけでなく、多くの専門職が協調して対応することが必要です。現在、当院のがん相談支援センターでは外来の患者さんやご家族に対して生活福祉相談室・入退院支援室のソーシャルワーカーが窓口となって様々な相談を受けています。また、入院されている患者さんやご家族に対しては緩和ケア相談室のがん看護専門看護師、緩和ケア認定看護師がニーズに合った適切な対応を一緒に考えさせていただいています。
  • 生活福祉相談室・入退院支援室では、生計困難な方で経済的理由により医療を受けることが制限されることのないよう、医療費の自己負担を軽くする「無料低額診療事業」を行っています。無料低額診療については窓口のソーシャルワーカーまでご相談ください。

5.がん登録の実施

  • 当院では、2015年12月31日まで地域がん登録を行っており、2016年1月1日より全国がん登録を行っています。また、2012年1月1日から院内がん登録を行っています。 日本のがん登録は、がん診療連携拠点病院をはじめとする病院内で行われる「院内がん登録」と、健康増進法に基づく努力義務により全ての都道府県で行われる「地域がん登録」がありました。
  • 院内がん登録は、がんについて当院で診断、治療などをされたすべての患者さんについての情報を病院全体で集め、がんの種類・病期・受診経緯・診療内容などを登録する仕組みです。当院は、大阪府がん診療拠点病院に指定されており、「大阪府がん診療拠点病院指定要件」及び「がん登録等の推進に関する法律」に基づいて、院内がん登録の実施が義務付けられ、院内がん登録集計結果を国立がん研究センターに提供しております。この調査を複数の病院が同じ方法で行うことで、当院におけるがん診療の把握、特徴や問題点を明らかにすることで患者さんに対するがん診療の質の向上と情報提供、国のがん対策に役立てられています。
  • 「地域がん登録」は2013年新たに成立した「がん登録等の推進に関する法律」に基づいて、がんを診療する全ての医療機関ががんと診断された患者さんの情報を登録しなければならないと定められ、2016年1月より現在の地域がん登録を発展させたものとして「全国がん登録」となりました。「全国がん登録」は、すべての病院及び一部の診療所において、がんと診断されたすべての人のデータを、国で1つにまとめて集計・分析・管理する新しい仕組みです。
  • 個人情報については、「がん登録等の推進に関する法律」・「大阪府済生会中津医療福祉センター個人情報保護規程」および個人情報保護法等の関係法令等に基づき、適切に保護、管理しています。

6.PDCAサイクルの確保

  • 組織的な改善策を講じるためにISO 9001の認証を取得し、PDCAサイクルの確保に努めています。
PDCAサイクル

がん診療に関するPDCAサイクルの確保

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