取り組んでいる項目

大阪府ではがん対策を進めるために「大阪府がん対策推進条例」を設けています。この中で挙げられている要件を実現するために、大阪府がん診療拠点病院は各病院で手分け・協力して対応してゆくことになっています。

当院ではこの条例であげられている要件のうちで、次の項目について協力を表明しています。

がんの早期発見の推進(がん検診)

大腸がん二次検診(精密検査)の受け入れ

消化器系がんの中で近年、大腸がんの患者さんの数が急激に増加しています。早期で発見されるとお腹を切らずに内視鏡治療で完全に治すことも出来るようになってきています。早期のがんでは自覚症状に乏しいため便潜血検査が一次検査として行われます。

この検査法は大腸からの僅かな出血を感知することでがんやポリープの発見の手がかりにするのが目的です。便潜血反応が1回でも陽性であれば二次検診として大腸内視鏡検査をお勧めします。当院では医師、看護師、検査技師が協力して苦痛のない安全な内視鏡検査を心がけております。検査はかかりつけ医から連携センターに申し込んでいただければ予約できます。検査前に一度、来院していただいて検査方法、注意事項について説明いたします。

がん医療の充実(地域連携)

地域の医療機関に対するがん検診の技術支援など

消化器内視鏡検査は、消化管のがん診療に欠かすことの出来ない検査法になっています。また、最も非侵襲的ながん治療法として内視鏡的治療が注目されています。当院では年間17,000件を越える内視鏡検査と1,800件の内視鏡治療を行っています。一方、技術的支援として他施設の医師を対象に研修制度を整えております。ご希望があれば人事室にお申し込みいただければ対応いたします。

緩和ケアの推進

緩和ケアの啓発活動

「世界ホスピス緩和ケアデー(World Hospice & Palliative Care Day)」を最終日とした1週間を「ホスピス緩和ケア週間」とし、ポスターの掲示及びセミナーや見学会の実施などを通した緩和ケアの普及啓発活動の取り組みが、日本ホスピス緩和ケア協会を中心に行われています。全国各地でイベントが開催されており、当院でも2016年からポスター掲示やパンフレット配布、相談コーナーの設置を通して、緩和ケアについて知っていただく機会にするためにイベントを開催しています。

肝炎肝癌対策の推進

肝炎ウイルス検査の受診率向上に向けての活動

原発性肝癌の原因として、大きな要因を占めるB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスがあげられます。当院においては、地域の病院、診療所と連携し、長期に血液透析を受けている方、大きな手術を受けたことがある方、輸血歴、針治療歴、家族歴や以前に肝機能障害を指摘されたことがある方へ積極的にHBs抗原やHCV抗体などの肝炎ウイルス検査を行っていただき、肝炎ウイルス検査が陽性である方には、当院へ紹介受診していただいて、血液検査、画像検査などを行い、今後の治療方針、原発性肝癌の発生のリスクなどを説明しています。

患者・家族支援

がん患者リハビリテーション体制の整備

がんに対して当院では、手術、抗がん剤などの治療が行われています。その過程で色々な障害が起こります。脳や脊髄の腫瘍では手足の麻痺、言語の障害、高次脳機能障害が起きてきます。また、舌やのどのがんでは術後に声を出すことや食べ物を飲み込むことに対する障害が、乳がんの術後では肩の運動障害、腕のむくみなどが起こります。さらに、抗がん剤や放射線治療などによって二次的に手足の筋力や体力の低下などを来たすことも多くみられます。

従って、がんの患者さんは治療が一段落しても、これらの障害を来たしたままでは、日常生活を送ることが難しくなります。リハビリテーションでは、そのような障害に対して、運動療法、ADL(日常動作)訓練、言語や嚥下の訓練や高次脳機能の訓練などを行い、機能障害の改善、ADL能力の改善をはかり、できるだけ早期に病院からご自宅への退院、社会復帰していただけることを目標にリハビリテーションを行っていきます。

がん終末期の患者さんに対しては、患者さん個人のニーズを尊重しながら、リハビリテーションを行うことで、身体的、精神的、社会的にもQOL(生活の質)の高い生活が送れることを目標にしています。姿勢・肢位の調整(ポジショニング)、呼吸介助、リラクセーション、各種自助具・補装具の使用などによって、疼痛、呼吸困難、浮腫などの症状緩和や拘縮、褥創の予防などを行っていきます。また「食べる」という食事に関して色々な問題が起こることもあります。そのような場合に食事の形態、食べ方や道具の工夫、姿勢調整など代償手段の指導などの対応も行います。さらに、心理支持的な目的で患者さんによっては、趣味や創作活動などを通じて、気分転換や不安の軽減といった心理的側面にもアプローチを行うこともあります。

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